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ヒビコーディネーション 代表 日比 隆志氏 インタビュー

2008年6月4日

日比 隆志氏

日比 隆志 (ひび たかし)
1961年生まれ。大阪府大阪市在住。広告写真のインテリアスタイリストを経て、現在は3DCG制作を中心に本・雑誌の執筆など活動中。

HIBI coordination:http://www.h3.dion.ne.jp/~hibi/

Luxologyのギャラリーには、日比氏がmodoで制作されたインテリアデザインのCG作品が多数展示されています。また、2007年11月に恵比寿のSPAZIOで開催いたしましたmodo 301ラウンチイベントにおいても「建築におけるmodoの活用」で登壇していただきました。今回は建築業界におけるCGの役割についてヒビコーディネーション代表 日比 隆志氏にお話をお聞きしました。

Lux:インテリアデザインはどこで勉強されたのでしょうか?日比さんの簡単な経歴をお聞かせいただけますか?

hibi:私は以前にカタログなどの広告撮影の現場でフリーのインテリアコーディネーターを約20年間やっていました。CGアーティストとしてよりもインテリアコーディネーターとしてのキャリアの方が長いわけなのです

Lux:それではCGをはじめられたきっかけは?

hibi:3DCGは、コーディネートのプラン作成に使い始めたのがきっかけです。
それまでもPhotoshopを使ってプランを作成し、プレゼンテーションをおこなっていましたが、3DCGを使うことでカメラから見た状態をシュミレーションできると考えたからです。私がインテリアコーディネーターからCGアーティストへと方向転換したように思っている人もいますが、私の中では変わらずに、同じ仕事をしています。それはスタジオでやっていたことと同じことを、コンピューターの中でやっているだけなのですから。

Lux:主にどのような分野のお仕事をされているのかお聞かせください。

hibi:以前にインテリアコーディネーターをしていた関係もあって、やはり建築やインテリアに関連するカタログやポスターなどのCG制作が多いですね。あと、インテリア雑誌にCGを使ってインテリアの解説を執筆することもあります。

Lux:建築業界におけるCGの役割や、重要性や、日比さんがどのように3DCGを建築でのお仕事で活用されているか、お聞かせください。または、現在、建築における表現のトレンドのようなものがあれば、ついでにお聞かせください。

日比氏ギャラリー

hibi:建築業界と広告業界も含めてのCGについてお話したいと思います。
インテリアに関連するカタログ撮影はスタジオに多数のセットを作って、大量の家具や小物を小道具として用意するわけです。膨大な費用もかかりますし、撮影が終わったセットは廃材なってしまうので環境面からもあまりいいことではありません。そのような撮影をフォトリアルCGに切り替えることで、コストダウンになりますし、環境にもやさしいというわけです。さらに、写真撮影の場合はプレゼンテーションのビジュアルイメージが撮影の段階でうまく表現できないこともありますが、フォトリアルCGの場合は、プレゼンテーションの段階でテスト画像をビジュアルイメージとして使用することも多いのでより完成に近いイメージでプレゼンテーションできるわけです。
また、建築関係では様々なシミュレーションにおいてもCGは非常に役立ちますね。
例えば、数種類の床材や壁材の組み合わせを変えて検討するのもCGなら簡単ですし、フィジカルサンを使えば実際にどのように日が当たるかを再現することができます。
しかし、以前はイラストとして扱われていたCGも、現在では写真と同等の扱いになってきているので細かいところまでリアルさを要求されるようになりましたね。

Lux:インテリアなど建築に関する作品が多いですが、気を付けている事はありますか?(モデリングの手法や、テクスチャや、ライティング、レンダリングなどの設定について)

hibi:私の仕事の場合は、写真に置き換わるCGというのが前提なのでやはりライティングにはかなりの神経を使います。現実世界においては、光がないと真っ暗で何も見えません。物体に光があたることでその表情を表すわけなので、光のあたり方は非常に大切です。
また、インテリアなど室内のシーンでは直接光と間接光のバランスに気を付けています。

Lux: インテリアデザインのお仕事に進まれるにあたり、影響を受けた方はいらっしゃいますか。

日比氏ギャラリー

hibi:特にはないですが、インテリアコーディネーターの仕事の前にファッションデザインの勉強をしていた頃があって、そのころにチェアのデザインに興味を持ちはじめました。チェアは素材の種類もデザインも豊富で見ているだけで楽しいですよ。ファッションデザインとチェアのデザインに何か共通するものを感じたのだと思います。それをきっかけにインテリアデザインの方向に進んだようなものなので、影響を受けたのは人ではなくチェアでしょうね。

Lux:日比さんのWEBサイトギャラリーにはとてもリアルで美しい画像がございますが、一つのお仕事にはどれくらいの制作期間をかけていらっしゃるのですか。

hibi:そのような質問はいつもよくされます。
内容によって様々なので一概には言えませんが、画像一点につき短ければ2、3日。長ければ1週間ぐらいと答えています。ちなみに、仕事としては数点から数十点制作することが多いので、一つの仕事としては2、3ヶ月かかることもあります。

Lux:日比さんが現在までに使用されてきたソフトウェアについてお聞かせください。

hibi:はじめての3DCGソフトはエイリアススケッチです。その後レイドリームデザイナー、Shade、CINEMA4Dを経て現在に至ります。
Shadeはプレゼンテーションによく使いましたね。ちょうどその頃にラジオシティが搭載され、フォトリアルCGにのめり込みました。セット撮影のライティングの知識はあったので、間接光を使ったGIレンダリングの方が私には簡単でした。その後、CGアーティストとしての活動をはじめたのはCINEMA4Dを使いはじめてからだと思います。

Lux:主に仕事で使われているコンピュータの構成をお聞かせください。また、modoを使い始めたきっかけをお聞かせください。

日比氏ギャラリー

hibi:私の所のコンピュータはすべてMacです。
現在、CG制作には主にMac Proを3台使っています。一台がモデリング用で、2台がレンダリング用という構成です。以前はレンダリング用に4台のコンピューターを使っていましたが、modoを使うようになってからは2台で同じ作業ができるようになりました。
それでもレンダリングにはやはりパワーが要求されるので、カスタマイズモデルで最速モデルをオーダーしています。あと、外でプレゼンテーションやデモをすることもありますので、MacBook ProとMacBookも使います。
modoを使い始めたのはレンダリングが搭載されたmodo 201からです。
きっかけは、速くてきれいなレンダリングとリアルタイムプレビューに興味があったからです。

Lux:日比さんにとってmodoの魅力はなんでしょうか。他の3DCGソフトウェアと比較して、どのような点が優れていると思われますか?

hibi:私にとって3DCGソフトは表現する手段なのです。考えを形にする道具といった方がいいかもしれませんね。ですから、操作は直感的であってほしいし、思考の妨げになってほしくないわけです。
以前に他の3DCGソフトを使っている頃はどうしてこんな面倒な手順を踏まないといけないのかと思う操作が多々ありましたが、その点、modoはすごく直感的に操作が出来ますね。周りのアーティストからもmodoを使い始めてからモデリングが楽しくなったという声をよく聞きますが、それだけアーティストがどのような操作性を望んででいるのかを実によく把握できているのだと思います。
また、リアルタイムプレビューのおかげで見ながら仕上げていくことができます。ライティングにこだわる私としてはライティングの調整をリアルタイムで確認できるのもすばらしいところです。

Lux:将来のmodoに期待する機能がありましたらお聞かせください。

日比氏ギャラリー

hibi:クロス(布)をうまく扱える機能があればうれしいですね。
金属やプラスチック、ウッドなど硬い製品なら写真に近いCGが比較的簡単にできます。しかし、クロスなどの柔らかいものはなかなか難しいものです。他のソフトにはクロスシュミレーションなど物理的なシュミレーション機能があるソフトもありますが、意図的に形を操作できるものではないように思います。例えば一枚のクロスから縫製するようにカーテンができたり、ベッドのシーツを起きたあとのようにしわを作れたりとか、一枚のクロスの大きさを変えずに自由に形を変えることができれば最高ですね。

Lux:本日は、どうもありがとうございました。